●●●●年×月◇日
昨日やってきた未知の生き物、もとい小人。
ヒト型だが、彼なのか彼女なのかもよく分からない。他の三人称が必要だ。英語にはあった気がするけれど、日本語だとなんと表せばいいのだろう。
まんまるな目が二つ。白目の真ん中に、どこまでも真っ黒なちいさな瞳。
テーブルの上でのんびりと過ごすこの小人は、まるで人見知りなどしないようで、私の書きかけのノートの上でゆらゆらと楽しそうに首を振っている。
昔こんなおもちゃがあった気がする。太陽光で動いていたが、この小人の動力は何なのだろうか。
掌を差し出すと、何の警戒心もなく上に駆け上がってくる。小さな存在。
私が眺めまわすのを不思議そうにただ見ている。
服をつまんで持ち上げる。簡単に持ち上がる。よく分からないまま大人しく宙に浮かんでいる。
再び掌の上に戻し、自由にさせる。ころころと丸まって転がっている。
このまま「小人」だとなんとなく落ち着かない。この存在に、名前をつけることにする。
何もかもを素直に受け入れる懐、どこまで続くのかわからないほどのまっ黒な瞳。
「ふかいちゃん」と呼ぶことにした。