●●●●年×月△日
視線を感じ、ふとテーブル上に置いている携帯ラジオに目をやった。
後ろから、いつもならば絶対に見かけない存在がひょっこりとこちらを覗いている。
ぱっと見、ヒト型。身長、携帯ラジオの縦よりも少し低いくらい。絵本などで言う小人というやつだろうか。
小人は、ただ興味深そうにこちらを見つめている。
名前を尋ねてみても、よくわからないといった風情でこちらを見つめるばかりだ。どこから来たのかもよくわからない。目を離したら消えているかも。現れた時とまったく同じような、ちょっとした空気の動きという程度の自然さで。
一瞬目を離してみたが、特に消えていることもなかった。じっとこちらを見つめるふたつの双眸。
私はいったん、この小人のような生き物をどうするともなく、ここに居る間は観察することにした。