春になる前は雨がどうも多いように思うが、この時期の春になりきらない特有の冷たい雨の日をなんとも好ましく思う。
特に、休みで予定のない日に雨が降るのは割と歓迎している。なぜならなんとなく何もしなくて良い気がするので。
玄関より先には出ない。家という結界の中で、ひたすらぼんやりとする。
自分の為ではないこと(仕事など)に時間を割く日は、結局動作の主体が自分ではなくなるからか外の世界に合わせたスピードで一日、週間、月を駆け抜けていく。必然的に、一日通して動きが早くなっていく。
なので家事などの「自分の為ではあるけれど、どちらかというとタスクに分類されるもの」を稼働日にまとめて片付けてしまって、完全なオフになると時々本当にダラダラと寝て、起床した後もぼんやりと床に転がってSNSを見て過ごすことも多い。多分自分が自覚しているより色々と疲れてるんだろうな。
疲れを一切自覚できないまま積み重なっていくと、なんとなく夜遅くまでぼんやりとしてしまって日中の生活をとりあえずこなすだけの屍と化すわけだ。先月の自分のことなのだが。
最近やっと少しは人間らしい感情も生活も取り戻しつつある。
時々夜、風呂に入る気力すらなくなることがある。顔は洗って歯を磨いてそこで力尽きて、ベッドには行けないから床に転がってとりあえず眠ってから回復に努める。
そんな日の翌日は、目覚めた後にケトルで沸かした湯を飲んで、風呂を溜めて浸かる。
時々窓を開け放して、湯船から雨の空を見てぼんやりしている。
あまり公衆浴場に行く習慣はないから、こうして自分一人のための空間を時々開放して、密かに外に向けて扉を開く。まあ、すぐに閉じてしまうんだけれど。オフなので。
こうしてさっぱりして、また眠って、腹が減ったら冷蔵庫の残り物でチャーハンでも炒めて食べる。
ラジオをつける気にならない時は、一人で雑談しているようなYouTubeを流してゆっくり聴き流す。やがて流れる話に相槌を内心で打つようになる頃には、合わせて湧いてきた気力を駆動して、ちょっとやろうと思って先延ばしにしていたことに手をつける。
そうやって休日が過ぎ去っていく。
普段、あまり長い休みはいらない。たまに目的があれば旅にでも出たいけど。
それよりも、こうして敢えて時々立ち止まって、ぼんやりしたらまた外に開いていく方が、多分合ってるなと最近になってやっとわかった。
なんでもない日の過ごし方。
こういう誰の目にも触れず、誰にも見られていない生活が沢山あつまって街ができているとか、そういうことで自分の口角を少し上げている。